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提言・情報 〜「スポーツNPOのネットワークづくり」について発言

(2004年10月30日:第4回スポーツNPOサミット)
発言者 NPO推進ネット 専務理事 高比良 正司
   日本におけるNPOのネットワークの歴史は古く、戦後まもなくでは占領下GHQの提唱によって生まれた婦人会や子ども会連合会もNPOのネットワーク組織ですし、その他労働組合、生活協同組合、さらには公益法人である経済団体連合会等もひろい意味でNPOのネットワークという事が出来ます。
   ネットワークをつくる意味は一言でいうと「個別に解決出来ないスケールメリットを生かした活動展開が可能」になる所にあります。

■ ネットワークづくりの経験の中で

   私自身は、38年前子ども系NPO(子ども劇場)の立ち上げに参加し、それ以来ネットワークづくりの連続でした。 組織が全国的に広がり600団体規模になると、必然的にお互いの連携が必要になってきます。
ひとつには、事業の一つに舞台鑑賞があり、全国各地を公演する芸術団体の舞台装置や俳優・スタッフの移動に多額の経費がかかります。 この負担を軽減するためにはむだのないコースを組むことが必要です。
また、当時は文化は贅沢として戦時中に立法化された「舞台入場税」というものがありました。 子どもたちが出し合う会費が税金の対称になるという訳です。
そんな税法は変えてもらう以外にないと、多いときには数百万人の署名を携えて繰り返し国会に通いました。
しかし現実は甘くなく、事態は一向に改善されません。そうした時に「入場税」に苦しんでいるのは私たちだけでなく、全ての芸術団体の共通する課題である事が解りました。
そこで、芸術団体に広く呼びかけPAN(パーフオミング・アーツ・ネットワーク)というネットワーク組織をつくりました。 すると、想像をこえる3500団体もの芸術・文化団体が参加して来ました。
このスケールメリットの力で、「舞台入場税の撤廃」、「芸術文化振興基金の創設」、さらには「芸術文化振興基本法の制定」など数々の成果をあげる事が出来ました。 こうした流れの中で民間の非営利団体に法人格を与えるいわゆるNPO法の成立にも参加しました。
ここでは芸術団体だけでなく、福祉・子ども・環境・NGOなど、幅ひろい協力の中ついに法制化が実現した訳です。このように、ネットワークの力がいかに大切か私自身の体験を通じての実感でもあります。

■ ネットワークの意義とスケールメリットの活用

   ネットワークにおけるスケールメリットには、大きく分けて3つの内容があると思います。
まず第1には、お互いの連携と交流を通じてそれぞれの団体の活動内容が豊かになることです。 個別の団体の特徴を持ちよることでお互いの弱さを補い合い新しい展開が可能になります。 例えば、元気な高齢者の活動に取り組む福祉系NPOが専門家を招いて読み聞かせのトレーニングを行い、子どもの居場所づくりに取り組む子ども系NPOと協力して定期的な「読み聞かせの会」を開き、高齢者も子どもたちもお互いに充実した豊かな体験を積んでいる事例があります。 こうした3世代交流を通じてのまちづくりや環境、自然保護活動等様々の分野で活発になってきました。 分野をこえたネットワークづくりも活動内容を豊かにする力になっています。
第2には、経済基盤の補完性です。ネットワークのスケールが大きければ大きいほど、また連携・協力関係が強ければ強いほど事業性を高めあう可能性が広がります。 平成16年度推定3000億円といわれる「NPO関連政府予算」や各地方自治体で急速に拡がっている税制を始めとする様々の支援策を有効に活用する上でネットワークの力は欠かせません。 さらには、企業との協働事業開発による「保険・年金システム」やクレジットカードを活用した「カードシステム」などスケールメリットが発揮されてこそ大きな規模の取り組みとすることも出来ます。
第3には、社会システムの改善や転換を図るうえでネットワークの果す役割は決定的です。私自身の経験でもふれたように制度を変えたり、法律を作らせたりするのは、個別的な働きかけだけではなかなか実現しません。 スポーツ分野でも、地域ではグランドなど公共施設がなかなか借りれないといった身近な問題から、スポーツ振興のための法制度の改革に至るまでネットワークの力があればこそ取り組める課題は山ほどあります。
このように、ネットワークをつくりスケールメリットを生かす意味は、それぞれのNPOの発展と共に社会的価値を高めていく上で欠かせない組織づくりだということが出来るでしょう。
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