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提言・情報 〜政府NPO関連予算の問題点について報告

(2004年7月31日:京都NPO関連予算ヒアリング)
報告者 NPO推進ネット 専務理事 高比良 正司
   この3年間、各省庁のNPO関連予算に関して担当者に集まって頂く機会をつくってきました。 最初、省庁の担当者は戸惑い気味で緊張した様子で参加されていましたが、3年間継続すると現在では積極的に参加されるようになりました。 そして、多いところでは1省庁10名くらいお見えになるところもあります。
   これは 1)NPO予算が急増している事 2)行政とNPOとの協働について積極的に取り組もうとしている事の反映でもあります。 しかし、平成14年度の頃には各省庁がどのようなNPO関連予算を組んでいるか、トータルな数字を出すことは困難でした。 14年度予算を単純集計すると1300億円に上っていました。しかしその内訳をみるとNPOは全体の予算の中の一部であったり、また、実際には行政主体でNPOを対象としていなかったりする問題もありました。
平成16年度予算はおよそ3000億円の予算規模になっているのではないかと思われます。 特にここ数年、全体の予算が削減されている中でNPO関連予算はあまり減少していません。
NPOを対象とすると予算が通りやすいということもあり、NPO関連が予算獲得の目玉になっているんだという省庁さえあります。 全ての予算がNPOを支援しようとしている訳ではありませんが、まちがいなくNPOは追い風の環境にあり予算額も年々確実に増えてきています。
   特に昨年NPO法が改正され17分野に広がりましたが、以前の12分野の時には、どちらかというとNPOは地域密着型の市民活動、地域のボランティア活動といったイメージでとらえられていました。
昨年から 1)経済活動の活性化 2)科学技術の振興 3)消費者保護の運動 4)職業能力の開発と雇用機会の拡充などが加わる事で、これまでのNPOの対象が大幅に広がり日本の経済や雇用創出の基盤を整備するような活動もNPOが担っていくというように変化しています。
現在、NPO法人は約18000団体、すでに社団・財団法人をこえる規模になりました。従来のボランテア型、市民運動型のNPOに加えて、非営利の事業団体が急激に増えてきているという事が出来ます。
例えば、まちづくり、商店街の活性化、或いは学校、幼稚園、保育園経営など地域の経済活動や、教育などに関わる事業性の高いNPOが増えてきています。 今まで縁が遠かった経済産業省や総務省、国土交通省などでもNPO関連予算が急速にふえているのが特徴です。
各省庁とのヒアリングのあとは、毎年着実に増えていくことに満足な気持ちになるのですが、その後各地でヒアリングが行われるとNPOの皆さんからは「そんな情報や助成金は全くといっていいほど届かない」と言った反応を聞きます。 国でいくら予算を組んでも実際に地域のNPOには届いていないという現実はどこででも指摘されるところです。 多くのお金が使われないまま国庫に戻っているという事例も少なからずあります。 こうした実態をなんとか改善しなくてはなりません。
今回、主にNPOへの助成実績が高い8つの省庁を対象に実態調査を行うことになりました。現在集約中ですが現時点でいくつかの問題点がわかってきました。 14年度でみると1300億円の予算の中で明らかにNPOに届いているのは約30億円でわずか3%程度です。残りはどこにいっているのでしょうか?

■ NPOに情報が伝わらない

   地方自治体を通じて募集することが多いために、国としてはNPOの顔が見えないという問題があります。また、実質的には行政が主体の助成金も多いためNPOに情報が伝わらないこともあります。
今回の調査で、どんな情報が国から流れ予算が届いているのかを8つの都府県にアンケート調査をしたところ多くの意見として地方自治体にも情報が伝わらないという声でした。 その大きな理由のひとつに省庁の募集が自治体を通してNPOに届くまでの期間が余りにも短すぎるということです。 とても間に合わないので自治体側が申請をあきらめてしまう例もあります。
そもそも自治体としては仕事だけ増えてあまりメリットはないので消極的にならざるを得ないという訳です。
例えば、文科省の「子どもの居場所づくり事業」を見ると、50億円もの予算がくまれていますが市町村に申請し、都道府県を通じて文科省に提出するのに1カ月間しかないために申請を見合わせたという意見が出されていました。 私たちも実際に体験してみようと文科省にいき東京都を訪ね、さらに国分寺市と話し合ってやっと申請にこぎつけました。市に提出してから文科省につくまでに半月以上を要しました。通常だととても間に合いません。
こういう実態を見ると地方自治体で取り組むのに消極的になるのもうなずけます。その結果NPOには情報がほとんど届かないということになります。こうした煩雑な手続きを取らないと申請できないシステム事態を改善しなくてはなりません。
全国的に情報を流して募集するには、そのくらいの期間を設けてやるべきです。また、われわれNPO側も待ちの姿勢でなくて情報をどんどん吸収する努力が必要です。こういった助成情報は各省庁のホームページを開けると全部でています。

■ 外郭団体を通じて

   各省庁の外郭団体を通じての助成金も少なからずあります。
今年の4月から独立行政法人になりましたが、公募する法人もいくつかあります。厚生労働省の福祉・医療事業団(長寿・子育て・障害者基金)、文部科学省の国立オリンピック記念青少年総合センター(子どもゆめ基金)、文化庁の芸術文化振興会(芸術文化振興基金)などはNPOにも広くオープンにしています。
厚生労働省の外郭団体に雇用・能力開発機構があり、NPO推進ネットでも「NPO委託職業訓練」を実施しています。実際に職業訓練を実施するにはハローワークを通じて募集し3ヶ月間のカリキュラムを組まなくてはならないのでなかなか大掛かりで大変です。
しかし、NPOに関心をもつ若者や50代の方、とりわけ定年を控えて新しい生き方を模索している人たちは非常に関心のある分野です。 NPOにとっても重要な人材育成の機会ですので、全国的に情報を流し実施の機会を広げていきたいものです。
こうした外郭団体の情報もホームページで検索することができますので積極的に活用して欲しいものです。

■ 縦割り行政の弊害

   各省庁のヒアリングに大勢で参加される理由のひとつに、省庁内でもお互いの課の予算を全く知らないということがあります。 つまり、省庁の中でもNPOに関する予算がいくらあるのか解からないわけです。これは地方自治体でも同じ実態があります。 これは行政の縦割り型と横断的な活動をしているNPOとの矛盾といえます。
従来のNPOの助成の受け方も子どもの事であれば文部科学省、子育てであれば厚生労働省、芸術文化は文化庁というように縦割りでした。ところがNPOの活動は子どもと高齢者とまちづくりといったように、1つの活動の中に多くの分野が連動している場合が多いわけです。 従って全体的に予算や助成の実態をつかまなければ有効な活用を実現することができません。こうした実態をつかみやすいシステムに変えることを各省庁や地方自治体にも働きかけていく必要があるし、NPO自身も積極的に要望していくことが望まれます。

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